column コラム
人材採用・人材不足 2026.09.01
公務員人気のかげりにどう立ち向かうか?小規模自治体が民間企業に勝ち抜くための「採用マーケティング」アプローチ
現場で実感する「公務員離れ」と小規模自治体が直面する危機
近年の学生の就職動向において、民間企業志向の強まりと公務員志望者の減少は顕著になっています。
大学側へのヒアリングや現場の動向からも、公務員を第一志望とする学生の減少は明らかです。
実際に北海道内の自治体を訪問した際、「今年度の採用は0人だった」という深刻な声も耳にしました。
特に小規模自治体において、従来の慣行を踏襲した採用活動を続けていては、事態が悪化する一方です。
制度の「公務員」と柔軟性の「民間」:福利厚生の真の課題
元自治体職員として民間・公務員の両方を経験した視点で見ると、公務員の福利厚生制度には依然として高い安定性と安心感があります。
公務員福利厚生の強み
法的安定性と均一性
法律・条例に基づき、勤務地による格差が少ない。
共済制度・手当
医療費軽減や施設割引のほか、地域に応じた手当(住居手当や寒冷地手当など)が確実に支給される。
制度の確実性
病気休暇(最大90日)や育児休業など、権利として取得しやすい環境が整っている。
民間企業福利厚生の特徴
独自の優遇措置
大手・先進企業では月10万円を超える住宅補助など、公務員の上限を上回る制度が存在する。
柔軟なライフサポート
カフェテリアプラン(選択型福利厚生)など、個人のライフスタイルに合わせたサービスが充実している。
企業間格差
中小企業などを中心に法定外福利が乏しいケースもあり、企業ごとの差が大きい。
公務員の制度自体は今なお魅力的ですが、課題は「その魅力が求職者に届いていないこと」、そして「制度の提示だけでは民間の柔軟な見せ方に勝てないこと」にあります。
「お堅い募集要項」からの脱却:成功している先駆的事例
全国の自治体Webサイトの多くは、依然として形式的な「募集要項」の提示にとどまっており、求職者の意欲を高める工夫が不足しています。一方で、ターゲット視点に立った発信(採用マーケティング)によって成果を上げている自治体もあります。
山梨県小菅村(採用特設サイト)
「数字で見る役場」として有休取得率や年齢構成を可視化。Q&Aや職員インタビューを掲載。
福島県大熊町(採用サイト)
「『公務員になりたくない』私が夢中になれる理由」など、リアルな葛藤とやりがいに迫る内容で関心を惹起。
北海道白糠町(動画活用)
観光課職員の「リアルな1日」を動画化し、具体的に働く姿をイメージさせる工夫を提示。
埼玉県宫代町(先輩インタビュー)
志望理由や職場の雰囲気、入庁前の不安まで本音で語るコンテンツをSNSと連動発信。
徳島県神山町(SNS活用)
「かみやまライフ」として、地域の空気感や暮らしの魅力をビジュアルで訴求。
北海道釧路町(等身大の情報開示)
パンフレットと連動した「先輩の声」を通じ、等身大の日常を伝えることで入庁後のギャップを軽減。
小規模自治体が今すぐ取り組むべき2つの採用アプローチ
民間企業が採用発信を強める中、自治体が選ばれる存在になるためには、以下の初期施策が不可欠です。
Webサイト・動線の再構築
求職者が最初に行き着く職員募集ページをアクセスしやすい位置に配置し、職員の生声を交えた親しみやすいデザインへと刷新する。
体験型コンテンツ・インターンシップの実施
単なる業務説明ではなく、実際の公務のやりがいや社会貢献度を実感できる体験プログラムを設計し、入庁後の働き方を具現化させる。
組織の持続可能性を高めるために
小規模自治体において、1人の欠員が現場に与える負担は非常に甚大です。
既存職員の過度な負担増を防ぎ、行政サービスを維持するためには、新規採用職員の確実な確保が必須の課題です。
株式会社TOWN FIRSTでは、小規模自治体に特化した「採用マーケティング講座」を開催し、課題の抽出から実践的な採用戦略の策定・情報発信までを伴走支援しています。
採用課題への着手において「早すぎる」ということはありません。まず何から始めるべきかお悩みの自治体様は、ぜひご相談ください。