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行政計画・策定支援 2026.06.03

計画書は誰のために策定するのか?元自治体職員が考える「これからの計画書」の在り方

こんにちは。株式会社TOWN FIRSTの内村です。

全国の自治体が策定している数々の計画書を拝見するたび、私はある疑問を抱かずにはいられません。

「これほどまでに分厚い計画書を、一体誰が手に取って読むのだろうか?」

手に取るのは地域住民でしょうか、役場の職員でしょうか、それとも町議会議員でしょうか。

「誰のために計画を策定しているのか」という本質的な問いに対し、改めて深く向き合う機会はそれほど多くないのが現状です。定期的に訪れる計画策定業務は、国の補助金要件との兼ね合いもあり、どうしても「策定すること自体が目的(つくって終わり)」になりがちです。

また、専門分野の計画はコンサルタント会社に「丸投げ」する一方、総合計画はすべて「自前(内製)」で対応するなど、自治体によってアプローチは極端に異なります。各自治体の思惑や予算規模、人員体制などのご事情は重々察しますが、せっかく多額の予算と多大な労力をかけて策定しても、机の奥で「宝の持ち腐れ」になってしまっては意味がありません。

これからの時代、私たちは計画書とどう向き合っていくべきなのか。元自治体職員としての視点、そして現在の地方自治体支援の現場から、今後の課題と先進的なヒントを探ります。

1. 「分厚くて誰も読まない」を覆す全国の先進的な計画書事例

全国の自治体が策定する計画書(総合計画や分野別計画)の中には、従来の常識を覆すユニークなものや、あえてコンセプトを尖らせることで高い効果を上げている事例がいくつか存在します。

人員や予算が限られる小規模自治体でも応用できる、一風変わったアプローチの計画書をタイプ別にピックアップしました。

① 「読まれること」に特化し、極限までページ数を削った計画書

一般的な総合計画は数百ページに及びますが、住民や職員が日常的に開くことを目的に、極限までスリム化した事例です。

【わずか12ページ】北海道上士幌町「第6期上士幌町総合計画」

特徴: 従来の分厚い冊子を廃止し、グラフやイラストを多用した「全12ページ」のビジュアルパンフレット風に仕上げています。

ここが先進的: 細かな数値目標や施策のディテールは、計画書本体ではなく「実施計画(別冊)」やデジタルデータに切り離すことで、本体の圧倒的な読みやすさを実現しました。

【新聞スタイル】島根県隠岐の島町「第2次隠岐の島町総合計画」

特徴: 冊子ではなく、タブロイド紙(新聞)の形式で策定・配布されました。

ここが先進的: 自宅の新聞に折り込めるサイズ感で、住民への「届け方」を最優先に考えたデザインです。コラムやインタビューを交え、町の未来を身近に感じさせる工夫が凝らされています。

② コンセプトやプロセスが尖っている計画書

構成や見せ方、策定のプロセスそのものをガラリと変えた事例です。

【SF小説で未来を描く】岩手県紫波町「紫波町総合計画」

特徴: 計画書の中に、20年後の町を舞台にした「SF小説(バックキャスティングのストーリー)」が盛り込まれています。

ここが先進的: 無機質な「~の推進を図る」といった行政特有の文言ではなく、未来の住民がどんな暮らしをしているかを物語にすることで、職員や住民がワクワクしながら未来像を共有できるようになっています。

【住民の「つぶやき」がそのまま計画に】高知県佐川町「佐川町総合計画」

特徴: 住民ワークショップで出た生の声やイラスト、付箋の文言を、綺麗な行政用語に翻訳せず、そのままのデザインで掲載した計画書です。

ここが先進的: コンサルタントが作ったような整った計画書ではなく、「自分たちの言葉で書かれている」という当事者意識を生む仕掛けになっています。

2. 現場のリアルな声:北海道内の小規模自治体を歩いて見えた課題

私自身、北海道内の数多くの小規模自治体を訪問し、企画・まちづくり担当の職員の皆様から直接生の声を聞いてきました。

  • 「専門的な計画は業者委託せざるを得ない」
  • 「総合計画は自前。エリアによっては、ほぼ完全内製で行っているが負担が大きい」
  • 「本当はもっと予算をつけて充実させたい」
  • 「完全な『丸投げ』はよくない、という意見が庁内でも多数を占める」
  • 「今後は、部分的な委託(部分委託)の可能性を探りたい」
  • 「ただ作るだけでなく、その後の検証(PDCA)もセットにすることが大事だと痛感している」

予算や人員が限られる小規模自治体こそ、「ページ数を減らす(=作成・印刷コストを削り、見やすさや伝わりやすさに投資する)」アプローチは非常に有効です。

分厚い計画書を1冊作るよりも、「10ページのビジュアル版(住民・職員向け)」+「毎年のローリングで動かすExcelの実施計画(実務向け)」という組み合わせの方が、実務での持続可能性(サステナビリティ)は格段に高くなります。

3. なぜ計画策定に「住民」と「若手職員」の巻き込みが必要なのか?

「誰のために作成するか」を考える上で、住民の参画は必須要件です。

これまでもこれからも、計画書の作成にあたっては住民の参画が最も重要です。町民の方々に積極的に参加いただける環境を作ることで、計画を「自分ごと」として捉えてもらい、町全体に良い刺激を与える効果が生まれます。

子どもたちや若者も策定プロセスに参加し、その経過を計画書に残していけば、将来のUターン(地元回帰)につながるきっかけにもなり得ます。

計画策定業務における意見交換会やワークショップは、単なる手続きではありません。住民の貴重な意見を拾い上げ、普段は顔を合わせない人同士がコミュニケーションを図る「貴重なコミュニティの場」なのです。

次世代を担う「若手職員」の育成機会にする

さらに、地域住民だけでなく、役場の担当課以外の職員、特に若手や新人の職員を積極的に計画づくりに巻き込むことが極めて重要です。

わが町の未来を自ら考えさせることが、5年後、10年後のまちづくりを支える強固な土台になります。

住民との意見交換会などの場は、若手職員をファシリテーターとして育成する絶好の機会でもあります。ここで得た経験は、将来必ず自治体の財産になります。

4. これからの計画策定の正解:自治体にメリットをもたらす「部分委託」のすすめ

今後も定期的にやってくる計画策定業務。その時、たまたま配属された職員が担当することになるケースがほとんどでしょう。いきなり異動してきて「これを作ってください」と言われるのは、担当職員にとっては非常に酷な話です。過去の計画を調べ、前回の委託内容を精査し、並行して通常業務もこなすとなるとやることは山積みです。

職員数が大幅に増えることは期待できないこのご時世において、今後どうしていくべきか。

その答えとして、私は「部分委託」という、自治体にとっての「いいとこどり」を提案します。

「すべての業務を丸投げする」のでもなく、「すべてを職員のマンパワーで抱え込む」のでもない。

事務的・専門的で負担の大きい部分のみを外部の専門業者に委託し、最も重要である「町の未来を議論し、意思決定する核心部分」に自治体職員が集中するというスタイルです。

委託のスタイルメリットデメリット
完全丸投げ職員の作業負担は少ない費用が高額、ノウハウが残らない、次回の担当者が困る
完全内製費用が抑えられる、当事者意識が育つ職員の負担が過大、通常業務の圧迫、視野が狭くなるリスク
部分委託(推奨)核心的な検討に時間を割ける、コスト最適化、ノウハウが蓄積されるどこを委託するかの仕分け(業務設計)が必要

「部分委託」を取り入れることで時間と精神的な余裕が生まれ、自治体独自のアイディアや、その計画で最もフォーカスすべき本質的な議論に時間を割くことができるようになります。

各自治体の予算や人員体制に応じた、柔軟な「いいとこどり」の考え方を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

最後に:あなたのまちのまちづくりに、伴走させてください

全国の自治体には、いま現在も限られたリソースの中で懸命に汗を流している職員の皆様がたくさんいます。

私自身、現在は北海道内の町村を中心に訪問していますが、今後は必ず全国の自治体へ足を運びたいと考えています。地域は違えど、小規模自治体が抱える共通の課題を、たくさんの職員の皆様と共有し、共に解決していきたいからです。

株式会社TOWN FIRSTでは、自治体職員の皆様が「本当に注力すべき業務」に集中できるよう、以下のようなスポット的な「部分委託支援メニュー」を複数ご用意しています。

  • 住民ワークショップの企画・運営のみ(若手職員のファシリテーター同席・育成も可)
  • アンケート調査の実施・データ分析のみ
  • 計画書の骨子案(構成案)の作成のみ
  • 中間および最終の体裁調整・デザイン編集のみ
  • 他自治体の先進事例の提供のみ など

予算や状況に合わせて、必要なパーツだけを柔軟にご活用いただけます。「すべてを自前でやるのは限界があるけれど、丸投げはしたくない」とお悩みの企画担当者様、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

あなたのまちの「これからのまちづくり」に、ぜひ私たちを参加させてください。

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