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人材採用・人材不足 2026.04.03

小規模自治体の職員採用、なぜ集まらない? 現場を知る支援者が整理する3つの局面と対策

近年、多くの自治体では職員不足が深刻化しており、募集を行っても十分な応募が集まらない状況が続いています。

そのため、従来は新卒中心であった採用方法に加え、社会人枠や経験者採用枠を設けて幅広い人材を募集する動きが広がっています。特に、民間企業での経験を持つ人材や即戦力となる人材の確保を目指す傾向が強まっています。

職員不足の自治体では職員一人ひとりの業務量が増え、休職される職員が増えるなど、体制に影響が出ています。今後、ますます職員不足は加速していくものと思われ、早急な対策が求められるところです。

また、他自治体への転職(自治体間転職)も一般的になりつつあります。近年は社会人採用や経験者採用枠の拡大により、自治体間での人材の移動が以前よりも活発化しています。これは、現職員がキャリアアップや働く環境の改善を求めて他の自治体へ移るケースが増えていることも背景にあります。

このような環境変化に対応するため、各自治体にはより魅力的な職場環境づくりや柔軟な採用戦略が求められています。なお、この職員採用状況の厳しさは全国共通の課題となっており、小規模自治体では臨時職員(会計年度任用職員)も少ない状況が続いており、採用担当の頭を悩ませているところです。

小規模自治体の現状

小規模自治体における採用難は、2026年現在「構造的なミスマッチ」と「近隣自治体との過酷な椅子取りゲーム」の様相を呈しています。

「募集しても来ない」「社会人枠が埋まらない」「内定を出しても他へ行く」という現場の悩みは、もはや一自治体の努力だけで解決できるレベルを超えつつあります。

私が働いていた管内自治体では、条件の良い隣の市への転職の動きが今現在加速しており、対応が求められているところです。また私が働いていた自治体では、一般職のほか専門職、特に保健師不足が深刻化しており、都市部の大学等で採用に向けた募集活動を行うなどの対策を図っている状況です。

職員不足の背景と実態を3つの局面に整理しました。

【局面1】募集しても来ない:「公務員離れ」と「知名度不足」

民間企業の採用活動が早期化し、給与水準も上昇している中で、自治体、特に小規模町村は選択肢にすら入らないケースが増えています。

1. 民間との年収格差

初任給の大幅引き上げを行う大手民間企業に対し、条例で給与が決まる自治体は追随が遅れ、経済的な魅力が相対的に低下しています。

2. 「何でも屋」への忌避感

小規模自治体では一人が複数の部署を兼務したり、広範な業務をこなしたりする必要があります。これが「専門性を高めたい」と考える層にはハードルになっています。また、2〜3年での異動がマイナスなイメージと捉える若者も少なくありません。

3. 情報発信の弱点

採用サイトの使い勝手が悪く、職場の雰囲気や実際の業務内容が見えにくいため、志望動機を形成する前に離脱されています。

【局面2】採用できない・定着しない:社会人枠の「スキルと条件のアンマッチ」

即戦力を期待する「社会人枠」ですが、応募があったとしても採用に至らない、あるいは採用しても定着しないという課題があります。

4. 社会人枠の苦戦

スキルと条件の「アンマッチ」が根本にあります。

5. 硬直的な組織文化

移住を伴う採用の場合、地域の人間関係や役場内の前例踏襲主義に馴染めず、数年で離職してしまうケースが目立ちます。

6. 副業・働き方の制約

民間では当たり前になりつつあるフルリモートや副業が、公務員法や保守的な風土により制限されていることが、優秀な人材の獲得を阻んでいます。

7. 専門性のミスマッチ

自治体が求める「DX推進」や「土木専門職」のスキルを持つ層は、民間や都市部自治体でも引く手あまたであり、小規模自治体が提示できる条件では競り負けるケースがあります。

【局面3】他に流れる:加速する「合格辞退」と「引き抜き」

複数の自治体を併願し、より条件の良い(給与が高い、実家に近い、規模が大きい)自治体に流れるのは、もはや常態化しています。

8. 他自治体への入職

複数の自治体を併願し、より条件の良い自治体に入職される傾向にあります。

9. 「滑り止め」化

試験日程が重ならない小規模自治体が、広域自治体や政令指定都市の「練習台」として利用され、最終的に辞退されるパターンも多々あります。

10. 中途採用の奪い合い

近隣の少し規模の大きな市が、条件を緩和して経験者採用を強化しており、小規模町村で育った若手・中堅職員が「より待遇の良い隣の市」へ転職する事例が相次いでいます。

11. 現状打破への「苦肉の策」

多くの小規模自治体が、なりふり構わぬ対策に乗り出しています。

  • 「公務員試験」廃止:SPIや独自面接のみとし、民間志望者も受けやすくする。
  • 奨学金返済支援:採用から数年勤務することを条件に、大学等の奨学金返済を町が肩代わりする。
  • 「特定地域づくり事業協同組合」の活用:役場職員ではなく、地域の複数の仕事を組み合わせる「マルチワーカー」として採用し、役場業務をその一部に組み込む。

12. 現場のジレンマ

「条件を緩めれば質が下がり、条件を厳しくすれば誰も来ない」という極めて難しい舵取りを迫られています。

それぞれの自治体が独自のやり方で職員の採用を行うという新たな形は、今後より一層加速していくものと思われます。これまで人気職種であった公務員人気は影を潜め、民間企業で働く求職者が増えている現状を踏まえた新たな対策が各自治体に求められています。

私も公務員人気が復活するよう微力ながら公務員の良さを伝える活動を続けてまいります。

それぞれの町の職員事情が少しでも改善できるよう、ともに頑張りましょう。

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